今回は東京のご自宅から福岡の病院まで新幹線で搬送した事例を書いていきます。
患者様は50代の女性。病気は癌の末期でした。
患者様は東京に1人暮らしをされていて、福岡にお住まいのお兄様の近くで見ていきたいということで今回の搬送に至りました。
搬送までの段取りや連絡をとっていたのはお兄様でしたが、当日のお付き添いはお兄様の息子様でした。
ご自宅へお迎え、東京駅へ
朝ご自宅まで伺い息子様と合流。お家の中に案内していただき
ご本人様とお会いしました。お話は普通にでき元気そうなお姿で少し安心しました。
ご自宅には息子様だけでなく、ヘルパーさんや親戚の方も来ており温かい気持ちになりました。
今回の搬送はストレッチャーで計画しておりました。
ご自宅はエレベーターがなく階段のみだったため、外の階段下にストレッチャーをつけて
布担架を用いてドライバーと私の2人でお部屋からご本人様をお連れする形となりました。
ヘルパーさんがいらしたのでこれまでの状態等を引き継ぎ、忘れ物がないか確認。
お見送りに来ていた方とお別れのご挨拶をしいざ出発しました。
朝早かったこともあり、ご自宅から東京駅までスムーズに向かうことができました。
車内ではバイタルサイン測定等行い、ご本人様の状態を掴むことから始めました。
また、動いたことで痛みもありご本人様の楽な姿勢が取れるよう適宜体勢を整えながら向かいました。
東京駅到着
東京駅に到着すると、駅員の方が来るまで一旦駅の待合室で待機しました。
息子様と新幹線の乗り方や新幹線内で行おうと思っていること等打ち合わせをしました。
そして駅員の方が来られホームまで案内していただき移動。
ストレッチャーを新幹線内へいれ多目的室の横につけて移動が楽になるように準備し布担架で多目的室のベッドへ移乗しました。
ここでドライバーとお別れです。
福岡へ出発
体勢を整えていると新幹線が出発し、福岡までの長い旅が始まりました。
多目的室のベッドでは、椅子の状態にするか完全にベッドの状態にすることの2択しかありません。
医師からは胸水が溜まっていて、完全に寝たままの状態だと水が移動して肺を圧迫して酸素がうまく取り込めなくなると聞いていたため、
角度をつけるためにご家族に布団を用意していただいていました。
布団等あらゆるものを駆使して背中がなんとか30~40度上がるよう工夫しました。
30~40度をキープしつつ、5~10分おきに体勢を変えたいと要望があったので適宜体勢整えました。
目的地の病院へ
必要なこと行っているとあっという間に福岡に到着しました。
福岡では現地の介護タクシーさんにお願いしてストレッチャーを持ってホームまで来てもらいました。
ストレッチャーは頭側が上がるタイプのものだったので布団等は使いませんでした。
駅から病院までは車で15分ほどの距離だったのであっという間に到着しました。
ここで初めてやり取りしていたお兄様ご夫婦とお会いしました。
挨拶をし、病院のリクライニング車椅子へご本人様を移乗。引き継ぎをして搬送を終えました。
最後に
お兄様からは「一緒についてきてもらえてよかったです。」
お付き添いの息子様からは「頼まなかったら僕1人でやることになってたから本当によかった」と嬉しいお言葉をかけていただき
とてもやりがいを感じましたし、喜んでいただき私も嬉しかったです。
また、この日はかなり朝早くの出発となったのですが、皆様に協力していただいたおかげでスムーズに物事を進めることができ、
何事もなく無事に搬送を終えることができました。
ご本人様がご家族様の近くで安心してご静養できますことを祈っております。