今回は、千葉県から患者様の地元である北海道札幌市の病院までの搬送をご依頼いただきました。
患者様は過去に発症した脳梗塞の後遺症で、半身麻痺や言語障害のある寝たきりの方でした。
特に道中の医療行為は必要のない方でしたが、透析導入中のため血圧の変動に対応ができるようにと看護師が全行程お付き添いしました。
出発地:千葉県 三橋病院にて
この日は受け入れ先の病院の都合もあり、早朝からのスタートとなりました。
入院されていた千葉県の三橋病院さんにてご家族と合流します。
患者様にご挨拶をすると、素敵な笑顔でお返事をしてくださいました。
久しぶりに再開したご家族とも談笑され、体調も良さそうで安心しました。
病院を出発する際は、病棟の看護師さんや担当のソーシャルワーカーさんがお見送りに来られ、ご本人様も笑顔で手を振りかえしていました。
PAS車両にて羽田空港へ
ストレッチャーのまま弊社の車両に乗り込み、羽田空港に向け出発です。
羽田空港までは車でおよそ1時間。朝早くからのご移動だったこともあり、道中は眠って休まれている様子もありました。
時折目を覚ますと、私に笑顔を向けてくださったり窓から外の景色を見ながら過ごしたり、、。
そうこうしている間に無事に羽田空港に到着しました。
今回は制限区域と呼ばれる、普段は立ち入ることのできない特別な区域から搭乗することを予定していました。
この日は余裕を持って空港に到着することができたため、職員の方の案内がくるまでは車内でお話をしたり、水分を摂ったりしながらゆっくりと過ごしました。
羽田空港制限区域にて
時間になり職員の案内で車両ごと制限区域に移動しました。
制限区域では、直接飛行機の横に車をつけ、専用のリフト車で搭乗します。
普段は見ることのできない新鮮な景色に、ご本人様も少し緊張している様子でした。
リフト車に乗り込むと、機内までストレッチャーは持ち込めないためスクープストレッチャーに切り替えて移動します。
さすがはいつもご協力いただいている空港・客室乗務員の方。スムーズに安全に移乗してくださいました。
羽田空港出発
無事に搭乗が完了し、離陸の準備に取り掛かります。
今回の患者様は、透析に必要な『シャント』という処置が施されている方だったため、そちらの観察も抜け目なく行いました。
シートベルトサインが点灯している間は満足に観察が行えないため、一般のお客様が搭乗している間に一つ一つ念入りにチェックし離陸に備えます。
飛行機内では座席を何席か倒してストレッチャーを設置していただいています。
飛行中は基本的に患者様のすぐ隣の座席で同行し、適宜バイタルサインの測定や体調チェック、姿勢の調節などを行いました。
循環や呼吸に影響の出やすい飛行機での移動でしたが、心配していた血圧の変動もなく、終始穏やかに過ごしていただくことができました。
この日はちょうどとある中学校の修学旅行生が同じ便に。思いがけず賑やかな旅となりましたが、それさえも楽しんでいらっしゃる患者様のお人柄に、心が温かくなりました。
客室乗務員の方もこまめにお声がけくださり、いろいろな方のご協力あっての搬送であることをあらためて実感しました。
新千歳空港到着
新千歳空港に到着すると、一般の方の降機後早速空港のストレッチャーで職員の方がお迎えに来てくださいました。
新千歳空港では制限区域ではなく、一般の搭乗口を使用しての移動となりました。
空港職員の方の案内で、到着ロビーに待機していた現地の介護タクシーと合流。
いよいよ最終目的地に向け出発です。
車内ではご家族様と共に、少し遅めの昼食を摂られました。ご家族様が患者様のお好きな味のものを何種類も用意し、一緒に楽しく食べられている姿を見て、本当に温かく素敵なご家族だなと、とても幸せな気持ちになりました。
新札幌聖陵ホスピタル到着
新千歳空港から1時間弱の車移動を経て、無事に到着地である新札幌聖陵ホスピタルに到着しました。
病院では多くの看護師さんに出迎えられ、何事もなく搬送を終えることができました。
患者様にご挨拶をすると笑顔で手を握ってくださり、私も自然と笑顔になることができました^^
最後に
今回私が担当させていただいた方は、搬送のご依頼をいただく段階から窓口として担当していた方でした。
基本的に長距離搬送の手続きは、初めは違うスタッフが行なっていたものを引き継ぐ形で当日担当するケースも多いですが、今回のように初めから携わることができた搬送は、より一層やりがいを感じられる経験となりました。
毎度のことですが、1日のうちたった数時間のお付き合いとは思えないくらい、お別れの瞬間は寂しく感じます、、。
それでも無事にご家族の近くに帰ってくることができたこと、その大切な瞬間に立ち会えたことは何よりのやりがいです。
今回の搬送に携わることができとても幸せでした!ありがとうございました。