ご家族様よりご依頼をいただき、東京都の病院から兵庫県の病院へ、新幹線でのご移動をお手伝いさせていただきました。
患者様は脳梗塞による後遺症で、右片麻痺、失語、嚥下障害のある方でした。
当日は吸引と点滴管理が必要とのことで、全行程看護師がお付き添いさせていただきました。
武蔵野台病院から新横浜駅へ
この日は早朝より、出発地である東京都青梅市の武蔵野台病院へお迎えにあがりました。
段々と冬が近付いていることを実感するような冷え込む朝でしたが、お天気には恵まれました^^
病院に到着しご家族と合流すると、すでに準備を整えた状態で患者様と病院スタッフの皆様が迎えてくださいました。
患者様と対面すると、元々お聞きしていた病状から予想していたご容態よりもお元気そうで安心。発語はありませんでしたが、私の名札を指差して頷いてくださる様子が見られました。
今回の出発地からは東京駅よりも新横浜駅の方が近いため、新横浜駅へ弊社の車両で向かいました。
とはいえ移動距離は長いため、車内での負担が少しでも軽くなるように工夫をしながら移動しました。
寒い日だったため車内での温度調節にも気を配るよう心がけました。
横浜に入ると、窓から外を眺める様子も。新鮮な景色に少しでも気分転換できていたら嬉しいです!
新横浜駅にて
新幹線の乗車に遅れないよう余裕を持ってスケジュールを組んでいたこともあり、予定より早く新横浜駅に到着しました。
発車時刻の30分前には駅構内に入り、駅員さんと打ち合わせ。
ホームへ上がると、朝の出発時より気温が上がって心地よい暖かさとなっていました。
駅員さんの案内で多目的室のある号車の列へ向かいます。新幹線を待つ間、乗り込む時の流れをご家族に改めてご説明し、弊社看護師とドライバーで移乗の仕方を最終確認しました。
新横浜駅は弊社スタッフの中でも停車駅が短いことで有名な駅です。何度も経験している私たちですが、それでも緊張する瞬間です、、(笑)
しかし、新幹線が到着してからは事前確認の通りスムーズに移乗が完了。移乗後は一息つく暇もなく、意識は常に患者様に向けるようにしていました。
新幹線多目的室にて
新幹線が出発してからは、患者様にとってより快適な姿勢で過ごしていただけるよう、工夫を凝らして環境整備を行います。
病院のベッドと比べるとどうしても寝心地に差が出てしまいますが、定期的な体位変換や体重がかかる部分の圧抜き等行いながら過ごしました。
多目的室は完全個室のため、オムツ交換もプライバシーが守られた中行うことができます。
今回の方のように点滴をしながら移動される患者様も少なくなく、点滴台のない多目的室内ではS字フックを活用して管理しています。
新幹線内では吸引やバイタルサイン測定など必要なケアを行い、容態の変化に注意しながら観察しました。
新大阪駅から北摂中央病院へ
2時間強の移動の末、新大阪駅に到着しました。
今回向かう病院は兵庫県でしたが、兵庫県の駅よりも距離が短いという理由で、患者様の負担に考慮し新大阪駅を利用するプランを立てました。
多目的室では少し眠られていた患者様でしたが、新大阪駅からはしっかりと目を開けて外の景色を見て過ごされました。
今まで入院されていたこともあり、久しぶりの移動で吸引の回数は頻回でしたが、協力してくださる様子も見られました。
道中、お付き添いのご家族が「昔行ったところだよ」「もうすぐ○○が見えてくるよ」などのお声かけをされると、そちらの方向に顔を向けており、ご家族の仲の良さにも心が温かくなりました。
北摂中央病院には予定より早めに到着し、しっかりと最後のご挨拶をすることができました。
ご家族様から「連携が本当に素晴らしかったです」とお褒めの言葉をいただきました。
最後に
今回の搬送は、搬送日の1週間前に決定し慌ただしく準備を進める形となりましたが、時間がないからこそ丁寧に、抜けがないよう色々なスタッフが関わって準備を行ってきました。
ご家族様、出発病院のご担当者様には時間の限られている中ご協力いただき、心より感謝申し上げます。
お別れ際に患者様にご挨拶をすると、わずかに聞こえる声で「ありがとう」と伝えてくださいました。
失語があり、道中お声を聞くことがなかったため、最後に目を見てお話くださったこと、本当に嬉しく忘れられない思い出となりました。
ご家族様が近くにおり、自然に囲まれた兵庫県で、穏やかに静養できますことをお祈りしております。
この度はありがとうございました!