今回は患者様の息子様よりご依頼いただき、石川県の金沢から横浜まで、新幹線を利用した長距離搬送です。
患者様は交通事故で右の片足をなくし、脳卒中の後遺症で左半身の不全麻痺があり、現在ほぼ寝たきりの状態です。
適宜吸引・オムツ交換・食事介助・移乗介助が必要となります。
当初ご家族で、介護タクシー1本でのご移動も視野に入れていましたが、この方の場合、新幹線を利用したほうがお身体の負担が少なく、料金も抑えられることから、相談の結果新幹線を利用してのご搬送となりました。
出発
到着すると、藤井脳神経外科病院の看護師が、出発に備えオムツ交換、痰の吸引を済ませてくださっています。金沢のなるわ介護タクシー様のストレッチャーに移動して、忘れ物の確認をしたら出発です。
病棟看護師より、微熱があるとの申し送りを受けたので、発熱や呼吸状態に注意していきます。ご本人はしっかり目を開け、聞き取れないものの、時折発語もあり、調子は悪くなさそうです。
金沢駅到着
久々に外の空気を吸ってびっくりしたでしょうか。私が「これから新幹線で東京駅に行って、そこから神奈川の病院に向かいますよ~」と声掛けすると、しばらくして「東京行くの?知らなかった・・・」とおっしゃいます。ご移動はご本人の強い希望と聞いていましたが、今日移動するとは思わなかったでしょうか。
駅で車椅子をお借りして、介護タクシー様の協力を得て、車椅子に移乗します。思っていたより左足の拘縮があり、病室と違ってつかまるところがないので、介助に少し時間がかかってしまいました。
待合所でお待ちいただいている間に、東京のドライバーに連絡し、新幹線の降車方法の変更を伝達します。
東京駅では、新幹線から降車する際、駅の車椅子を利用する予定でしたが、念のため、ストレッチャーにそのまま移乗するように変更です。
新幹線
金沢駅から新幹線に乗り込む際は一人介助ですが、駅員の協力を得て、難なく移動することができました。
新幹線内でも、バイタルサインを見ながら必要処置を行います。そうしているうちにあっという間に東京駅に到着です。
東京駅ではドライバーがストレッチャーを持って待機してくれています。
駅員がスロープをかけ、ストレッチャーを横付けして布担架で移動します。
東京駅から緑協和病院まで
いつもの煉瓦造りの業務用通路を通り、車に乗り込みます。
高速を使って揺られ、約40分、緑協和病院に到着です。
到着後
到着するとすぐに検査室に案内され、ご搬送中の申し送りをして、終了です。
出発病院の看護師から聞いていたよりも酸素化は悪くなく、微熱で経過しました。ご本人も疲れたか伺うと「大丈夫」としっかりおっしゃっていました。
その夜
ご家族よりお礼の連絡をいただきました。到着後の検査で肺炎と診断されたようです。ご移動中に体調が悪化せず、本当に良かったです。
また、「この感謝は一生忘れることはないです」とのお言葉も頂戴いたしました。
ご家族にとっても初めての経験で、「そもそも移動ができるのかどうか?」というところからのスタートだったと思います。移動ができるとわかってからは、「本当に安全に行えるのか?」という不安があったのではないでしょうか。
お仕事の忙しい中、様々な不安を抱えて今回のご搬送の相談をいただき、細やかな情報をいただきましたこと、私も非常に感謝しております。
病院との連携もさせていただけたことで、必要な処置や看護の注意点など事前に確認し、備えることができました。
患者様のご移動が無事に終わり、今後は治療に専念できますよう、一刻も早い回復を願っております。