東京〜八丈島 飛行機搬送

東京都の世田谷記念病院から、八丈島にある八丈病院までの搬送のご依頼をいただきました。

今回の搬送は普段と少し異なる点が何点かあり、手続きの時点で弊社スタッフと各関係機関の間で、何度も綿密に打ち合わせを行いました。

 

患者様のご容態と、今回置かれた環境にも触れながら、当搬送を振り返っていきたいと思います。

事前打ち合わせ

患者様は、心筋梗塞後の心不全にて療養されていた70代の女性。

事前に世田谷記念病院さんより、酸素を使用している情報をいただきました。

飛行機内で飛行中に酸素を使用することは可能ですが、使える酸素量に制限があるなど、手続きに少し時間を要することがあります。

今回も事前に情報をいただいたところから、ANAサイドに確認をとり、無事に手続きを終えました。

次にストレッチャーの設置の可否についてです。

弊社ブログでも何件かご紹介しているように、飛行機で寝たきりの患者様を搬送する際は、事前の手続きにより機内にストレッチャーの設置が可能となります。日頃より何度もストレッチャー設置の手続きは経験してきた私たちでしたが、今回登場する便には設置ができるかわからない、との回答が。

便数や乗客数が少ない便のため、機体自体も小さいことが理由でした。

なんとか患者様の搬送を実現させたい!という思いから返答を待ち続け、ANAサイドも迅速な対応を取ってくださり、無事にストレッチャーの設置が可能となりました。

これで搬送を実現できると思いきや、最後は現地の介護タクシー手配に難航しました。

あくまで弊社で調べた範囲ではありますが、八丈島では介護タクシーを運営している会社がなく、島内での転院等は現地ボランティアドライバーの方々により行われているとのこと。

こちらも今回の転院先である八丈病院からいただいた情報で、今回もボランティアの方にお願いできないかということになりました。

しかし、ボランティアさんや車両の数にも制限があるため、初めはお受けいただけましたがやはり難しいということで一旦白紙に。

弊社の救命士や看護師は、民間救急以外でもさまざまな経歴を持つスタッフが集まっています。スタッフ総動員で案を出し合い行き着いた先が、現地消防への依頼でした。

通常、緊急車両と呼ばれる救急車は予定された患者様の搬送は行いませんが、今回の搬送の件をご相談したことによりお手伝いいただけることとなりました。

世田谷記念病院から羽田空港へ

打ち合わせを念入りに行い、迎えた搬送当日。

患者様は事前にいただいていた情報よりもお元気そうで安心しました。

ご挨拶をし、弊社車両にて羽田空港に向かいます。

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羽田空港に到着すると、空港職員の案内で空港のストレッチャーへ移動。空港内では搭乗直前まで弊社の酸素を使用しました。

離陸の1時間ほど前から搭乗準備を開始し、それに伴い酸素は飛行機内対応のものへ付け替えとなりました。酸素の付け替え時はしっかりと酸素が流れているか、チューブが折れ曲がっていたり、踏まれたりしていないかなど特に注意して観察します。

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患者様がお持ちのティッシュボックスには、病院スタッフの皆さんからの温かいメッセージが。患者様の素敵なお人柄を改めて感じました。

空港のリフト車へと乗り込むと、そこから飛行機へと移動しあっという間に搭乗が完了しました。

患者様も普段通ることのできない場所に驚かれており、ご家族様と「こんなところがあるのね」とお話しされていました。

空港スタッフ、CAの方々のご協力もあり、いよいよ八丈島空港へ向けて出発です。

羽田空港から八丈島空港へ

フライト時間は1時間弱と短めではありましたが、酸素を使用している患者様のため呼吸状態には特に注意して観察しました。フライト中も適宜酸素の回路を確認したり、バイタルサインを測定し値を観察したり、、あっという間に着陸態勢に入りました。

着陸体制に入ると私たちスタッフもシートベルトをし、着席する必要があります。

患者様のすぐ隣に座るとはいえ、この数分の間にもどうか何も起こりませんように、といつものことながら思っています。

この日も患者様は無事、着陸まで何事もなかったのですが、驚いたのは着陸時の大きな揺れです。初めて経験するほどの揺れの大きさに、思わず患者様に声をかけましたが、患者様の口からは「いつもこれくらい揺れるけど大丈夫なのよ、怖いでしょ」と、予想もしていなかった冷静なお言葉が聞かれました、、!

ご家族様も「母も慣れてるから大丈夫なんだよ、ありがとう」と仰っており、さすが地元の方!と驚きと感動でいっぱいでした。

八丈島に到着

八丈島空港に到着すると、事前打ち合わせ通り現地の消防隊の方々が待機していました。

消防の方々が手早くスムーズに患者様を移乗し救急車へと運ぶ姿は、民間救急とはまた少し違った視点で刺激を受けた瞬間でもありました。

救急車にて八丈町立八丈病院に到着すると、病棟看護師の方々が迎えてくださいました。

病室からも見慣れた景色が見えることに患者様がとても喜ばれていたことが印象に残っています。

最後に

今回の搬送では手続きの時点でいろいろな壁がありましたが、その度にいつも協力いただいている空港関係者の方や航空会社の皆様、現地の介護タクシーの方々の存在の有り難さを改めて実感しました。

どの搬送でも共通して言えることですが、多くの方々のご協力と、何よりご本人様、ご家族様のご理解がなくては実現できなかった搬送であったと思っています。

八丈島は自然豊かで解放感にあふれ、時間がゆっくりと過ぎているような感覚を覚える、そんな島でした。生まれ育った素敵な島で、優しい患者様とご家族様がまた新しい思い出を作れますよう願っております。

この度は心に残るお手伝いをさせていただき、ありがとうございました。

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