今回は鹿児島まで新幹線でお連れした例を書いていきます
事例
患者様
年齢: 40代
性別:男性
疾患:悪性腫瘍
症状:疼痛、呼吸苦
ADL:軽介助で車椅子に移乗できる
医療処置:酸素4L、疼痛薬の適宜使用
出発
今回は救命士、看護師の2名で体制で行きました。
東京の病院から朝早く出発しました。
病院についてからご家族様と合流し病棟へ上がりました。
今回は軽介助で車椅子に乗れたことと、車椅子の角度を自由に変えられるので
対象様の好きな姿勢をとりやすいと考えストレッチャーではなくリクライニング車椅子を選択しました。
患者様に挨拶し、車椅子に軽介助で移乗してもらい実際のADLの状態を確認しました。
また、酸素4L使用していたため病院の酸素から弊社の酸素ボンベへ繋ぎ変えました。
その後、看護師さんから申し送りを受けました。
今回、疼痛薬は内服ではなく皮下注射で使い捨てのPCAポンプを使用していました。
そのため、入念に病院の看護師さんと薬剤のチェック、どのくらい使用しているか使用量などを確認しました。そして病棟を出て車内に入り東京駅へ出発しました。
車内〜東京駅
車内ではバイタルサインの測定を行いました。
車内にいた時点では特に苦痛等の訴えはありませんでした。
静かに見守っているとあっという間に東京駅に到着。
待合室へ移動し駅員さんの案内があるのを待ちました。
待機の間も特に訴えはなかったため、見守りました。
駅員さんの案内で移動。移動は振動や揺れで疼痛が増さないよう慎重に移動しました。
東海道新幹線へ
ホームまで行き新幹線内へ。軽介助へベッドへ移動しました。
すぐに寝そべるのではなく、座ったままの状態のほうが楽と仰っていたので座ったままの状態で向かいました。
やはりこれまでの移動で座った時に一気に疲労等が出たのか、
痛くないですか?と聞くと息苦しいですね、と痛そうな顔をして訴えがあったため
追加でレスキュー薬を使いました。
また、ベッド状態のまま座っていたため背もたれがなく背中が痛いとのこと
だったので、ブランケットをお借りしブランケットで背もたれを作りなるべく痛みを感じないよう工夫しました。
ただ、乗車3時間は痛みと苦痛の戦いで、私たちもなんとか取り除いてあげたいと
必死でしたがなかなかうまく取り除けずもどかしい思いをしました。
多目的室内には救命士、看護師2人と患者様の3人で入っていたのですが、患者様から3人いると息苦しいと訴えがあり、その後は交代で1人ずつ入り患者様が過ごしやすいよう努めました。
後半1〜2時間は入眠されておりました。
博多駅へ
鹿児島まで行くには九州新幹線に乗り換える必要があるため、
博多駅で乗り換えをしました。
博多駅では普通の車椅子をお借りし乗り換えの待機時間車椅子に座ってもらいました。
その間もかなり苦痛の表情だったので、なんとか励ましがら向かいました。
九州新幹線へ
九州新幹線へ乗り込み鹿児島まで出発しました。
長時間の移動のため少し動くだけでもかなりの苦痛が出るとのことで
九州新幹線の多目的室ではベッド上にした椅子に横並び3人で座り圧迫感を感じさせないように移動。
レスキュー薬を使うと副作用が出てこれがまた辛くなる
とのことで、背中を摩り励ましながら鹿児島まで向かいました。
鹿児島中央駅へ
鹿児島では、転院先の医師と救命士がドクターカーで迎えに来てくれました。
鹿児島中央駅ではストレッチャーが入るエレベーターがないため
普通の車椅子に乗ってもらい、下まで降りてストレッチャーに乗り換えました。
そして医師に申し送りし、車を見送って搬送終了となりました。
最後に
長時間の移動でかなり苦痛を伴っていたため、なんとか最小限に抑えたいと
尽力しましたがなかなかうまくいかずもどかしい思いをした搬送となりました。
しかし、なんとか鹿児島までたどり着くことができました。ご家族にも大変感謝していただきました。
この思いを次の搬送へ繋げられるよう精進してまいります。