今回は約一年ほど前に長崎県から東京都へ搬送をした患者様の戻りの搬送をご依頼いただきました。
患者様は脳出血による後遺症で麻痺があり、現在は気管切開を施行し酸素投与と適宜吸引が必要な方でした。
体格がかなり大きな患者様であったため、前回同様、看護師1名と力持ちな救命士2名の計3名で担当させていただきました。
出発地:総合東京病院
外はまだ暗い時間に、病院へ患者様のお迎えに上がります。
今回の搬送は飛行機での搬送が難しく、新幹線での長時間移動となるため当日は早朝からの出発となりました。
体格の大きい患者様に合わせ、安全を考慮しスクープストレッチャーも持参いたしました。
病棟へ上がると多くのスタッフの方々が手伝いに駆けつけてくださり、無事に移乗することができました。
病棟看護師より直近のご容態について申し送りを受け、ご家族様と共に弊社の車両に乗り込みます。
車内では体位変換ができない代わりに、ブランケットや枕でポジショニングをしながら移動しました。
東京駅にて
東京駅に到着すると、駅員の方の案内で早速新幹線ホームへと向かいました。
始発の1本後の新幹線に乗車するため、いつもは混雑している東京駅もまだまだ空いている時間帯でした。
ホームに着くとすでに新幹線が停車しており、出発時刻にかなり余裕を持って乗車することができました。
多目的室への移乗はスクープストレッチャーを使用し、弊社スタッフ3名で声を掛け合いながら行いました。
麻痺がありご自身で腕や足を保持することができないため、ベルトで固定し安全な状態で移乗しました。
新幹線多目的室にて
新幹線は無事に定刻通り出発。
ご家族様にはあらかじめ確保していた近くの指定席でお休みいただき、弊社スタッフは時間ごと交代で対応いたしました。
とはいえ途中で何かあった時のための複数人対応でもあるため、多目的室のすぐ外で待機。
中で管理をしているスタッフから声がかかればすぐに駆けつけられる場所で待機しました。
体位変換やポジショニングは3名で協力して行いました。
患者様は言葉を発することはできませんが、こちらの問いかけは理解し頷いたり首を横に振ることで意思表示をしてくださっていました。
初めは汲み取りきれないことも多かったですが、じっくりと長時間関わるうちに、今はこうしてほしいと思っているのかな?と分かるようになってきました。頷きが増えてくると、お気持ちを汲み取れているように感じ安心しました^^
福岡に入った際にお声がけをすると、今まで表情があまり変わらなかった患者様も笑顔で外の景色を見ておられました。
博多駅から長崎県へ
新幹線は予定通り博多駅に到着。
患者様のご容態から途中駅での新幹線乗り換えは患者様の負担となると考え、今回は博多駅から長崎県までを車両での移動としました。
車両では3時間弱かかることを想定しており、新幹線も含めるとかなりの長時間移動となりました。
その間、患者様にとって少しでも快適に過ごしていただくよう、車内でも工夫してケアを行いました。
また新幹線内では吸引の頻度もそこまで多くありませんでしたが、長時間の移動による振動等のためか車内では吸引の頻度は多めとなりました。
しかし、外の景色が少しずつ見慣れた長崎県に変わってくると、目をしっかり開けて外の景色を見ておられました。
ご家族が「長崎入ったよ」と声をかけられると、嬉しそうに頷いて反応されていました。
到着地:池田病院
車両での3時間弱の移動の末、無事に到着地である池田病院に到着しました。
外では多くの親戚の皆様が待っていてくださり、車から降りると久しぶりの再会に涙を流す様子も見られました。
嬉しそうな皆様の姿を見て、こちらも心が温かくなりました。
最後に
長距離搬送でリピートをいただく機会は大変貴重ですが、その分患者様のことをよく知った状態でより安全に搬送できるといったメリットがあると思います。
今回も前回経験したスタッフを含むメンバーで構成したため、少しでも患者様のご希望に添えることができていたらうれしいです。
この度はご依頼いただきありがとうございました。
島原は景色が綺麗でとても素敵な所でした!