今回は東京に入院中の患者様を地元の鹿児島にお連れしたいとのことで、弊社にご依頼いただきました。
患者様は食道がんの手術を経験され、下歯肉への転移がある方でした。
手術の影響で気管切開もされており、当日は喀痰吸引と、もしかしたら酸素も使用するかもしれないという状況でのご移動となるため、全行程看護師がお付き添いしました。
東京医科歯科大学病院にて
患者様が入院されている東京医科歯科大学病院には、到着病院や飛行機の兼ね合いもあり、早朝5時台のお迎えとなりました。
この時間は夜勤帯のためスタッフ数も少なく、対応が難しいことがほとんどですが、病棟の夜勤看護師の皆さんが総出でサポートしてくださいました。
まずは患者様にご挨拶。一見クールな雰囲気の患者様でしたが、いろいろな看護師さんに声をかけられる姿を見て、お人柄の良さが伝わってきました。
一緒に鹿児島まで向かうご家族とも合流し、ストレッチャーで車内に乗り込みます。
PAS車両で羽田空港へ
車内では枕以外にも、首枕等を使用して姿勢を調節しました。
今回は気管切開をされている方だったため、気管孔を塞がないよう工夫が必要です。狭い車内では使える道具も限られていますが、少しでも苦痛なく過ごしていただけるよう体勢を整えました。
幸いにも交通渋滞に巻き込まれることなく、余裕を持って羽田空港に到着しました。
羽田空港到着〜離陸
羽田空港に到着すると、必要な手続きを済ませ、ストレッチャーから空港のリクライニング車椅子に移乗します。
今回は一般の方と同じ搭乗口から、空港のフルリクライニング車椅子に乗って搭乗する予定で手続きを進めました。
車椅子のハンドリングは空港の方が行ってくださるので、私たちは患者様の状態観察に徹することができました。
空港の方は混雑している中でも的確に案内してくださり、いつも丁寧なご対応に感謝の気持ちでいっぱいです、、!
搭乗口から搭乗後は、スクープストレッチャーに乗り換えてこちらも空港職員の方々が安全に移乗をしてくださいます。
客室乗務員の方と連携を取り合いながら、ご本人様にとって一番楽で苦痛が少ない体勢を取れるようにし離陸に備えました。
今回は酸素の使用はありませんでしたが、念の為機内の酸素ボンベも手配していました。
上空では酸素が薄くなるため、健康な方でも酸素濃度は下がりやすい環境となります。
今回は主治医の先生から念の為で酸素を用意してほしいと指示があり、事前に病院と打ち合わせを重ねることができたため、少しでも飛行機搬送中のリスクを減らし万全の体制で搬送することが可能となりました。
私たちは飛行機搬送の経験者として、飛行中の患者様に起こりうるリスク等を少しでも多く情報提供していくことが、より安全な搬送に繋がると考えています!
鹿児島空港到着
飛行中はバイタルサイン測定や吸引等必要な処置を行いながら過ごし、無事何事もなく鹿児島空港に到着しました。
鹿児島空港でも空港職員の方々が迎えてくださり、現地の介護タクシーが待機するポイントまでハンドリングしてくださいました。
いつも鹿児島搬送でお世話になっている業者様に今回もご協力いただきました。
患者様は着陸後の振動等の影響で痰が上がってきていましたが、その他は特に変化なく落ち着かれていました。
相良病院到着
介護タクシーでの移動の末、目的地である相良病院に到着しました。
病院に到着すると、鹿児島にお住まいのご家族とも合流。久しぶりの再会にご本人様も嬉しそうな様子でした^^
病棟ではすでに何人もの看護師さんが到着を待っていてくださり、スムーズに病室まで移動することができました。
別れ際に患者様にご挨拶をすると、それまでは笑顔を見せることも少なかった患者様が、笑顔で握手とグータッチをしてくださいました。
この日の朝に初めてお会いしたとは思えないほど、寂しく名残惜しい気持ちになりました。
最後に
私自身鹿児島県に訪れたのは二度目でしたが、個人的に九州の雰囲気が好きな私にとっては、開放的で空気がおいしくやはりいいところだなあと改めて感じました。
そんな素敵な街鹿児島で、ご家族と共に新しい思い出を作り、穏やかに過ごせることを心より願っております。
この度はご依頼いただきありがとうございました。