今回は東京がん研有明病院から秋田県のご自宅まで新幹線を利用して搬送した件を紹介します。
今回の患者様は末期癌の方でした。
介助で立ち上がり、ストレッチャー・車椅子に自力で乗ることができ、コミュニケーションは問題なく取れました。
この日は必要なチューブが2本腹部に挿入していたので、このチューブの抜去に注意して搬送に取り組みます。
途中で酸素投与が必要になるかもしれないという情報もあったので酸素ボンベもリュックに入れていきました。
がん研有明病院にて
病院へ到着するとソーシャルワーカーの方と合流し病棟へ。すると事前の情報よりも元気そうな患者様の姿がありました。
搬送当日はどんな状態かわからないと事前に聞いていましたが、いつもより体調が良いと看護師の方や患者様ご本人から聞き少し安心。
患者様は看護師さんとお話ししながらベッド上で座っており、弊社のストレッチャーまではご自身で点滴棒を使って歩きそのままストレッチャーへ乗ることができました。
落ち着いてから患者様、ご家族にご挨拶し東京駅へ向けて出発です。
途中でご友人にお会いし、励まし合い涙を流されてる姿を見てより一層安心安全に努め搬送しようという思いが込み上げました。
病院から東京駅へ
東京駅までは弊社の民間救急車で移動しました。
病院から東京駅までは車で20分ほどです。東京駅までの道中は銀座などを通ったため患者様も外の景色を見て楽しんでいるようでした。
歌舞伎座の前を通るとご家族と興奮気味でお話しされている姿を見て我々スタッフも喜ばしい気持ちに。
車内でもバイタルは安定。何も危なげなく東京駅に到着。
東京駅に到着すると待合室で待機します。
この日の東京はすごく寒い日で、待合室が天国の様にあったかく患者様もゆっくりできていたようです。
そして時間になると駅員さんの案内でホームまで行きました。
待合室から新幹線のホームまではストレッチャーのまま地下の通路を通っていきます。
普段は職員しか通れない道を通れて嬉しかったようで楽しそうに移動されていました。
ホームに着くと患者様に、「新幹線の多目的室までストレッチャーから降りて歩くことができますか?」と聞きましたが、
「10歩くらいなら・・・」という返答だったので、安全面を考慮し多目的室へ移動する際は布担架を使用し2人で多目的室のベッドまで移乗しました。
トラブルなく新幹線に乗車することができ、いよいよ秋田に向け出発です。
新幹線で秋田駅へ
新幹線内ではブランケットや枕を使用し、居心地の良い姿勢を整えます。
落ち着いてからバイタルサインの測定など必要なケアを行いました。
ご本人様はバイタルサインの値や、動いた後にチューブが抜けていないかなど気にされていました。
自己管理がきちんとできているんだなあと印象深かったです。
車内では患者様の好きなスイーツ、私たちの住んでいる地域のおすすめのスイーツや秋田で食べた方がいいご飯やお酒などたくさん教えてくださりました。
搬送帰りに秋田駅付近で食べられるようなお店まで紹介していただきすごくありがたかったです…
そんなお話ししていたらあっという間で、とても楽しい雰囲気で向かうことができました。
秋田駅からご自宅へ
秋田駅に到着すると、現地の介護タクシーさんがお迎えに来てくれました。
ここではストレッチャーではなく、リクライニング車椅子で向かいます。
ストレッチャーではなくリクライニング車椅子なら多目的室のすぐ前まで入って来ることができます。
多目的室のベッドから数歩のところまでリクライニング車椅子が来てくれたのでご自身で「歩いて乗ります」とのことでしたので支えながら安全に移乗。
秋田駅からご自宅までは10分ほどでしたが、車内でもみんなで会話しながら和やかに向かうことができました。
ご自宅へ到着するとたくさんのご家族に迎えられました。
お部屋のベッドへ安全に移乗したことを確認し搬送終了です。
搬送後、ご家族・患者様から感謝の言葉をいただき感無量でした…
移動も長く、途中でご本人様の容体が変わってしまったら、という心配もありましたが
何も変わらず無事にご自宅まで到着することができ本当に安心しました。
ご本人様がご家族の近くで静養できますことを心より祈っております。