鹿児島の薩摩川内駅にある若松記念病院から、埼玉の川口さくら病院へ新幹線での大転院でした。
患者様は90代で脳出血の後遺症で寝たきり状態の患者さんです。
相談時は鼻からカテーテルが入っており、座位保持もリハビリもあまり進んでおりませんので、ストレッチャーで全行程車両での移動希望だった方。
長距離の移動であり、出発地と到着地の病院さんから移動日の決定に時間を要していたのですが、到着地病院さんからの受け入れの関係で、再相談後には胃瘻造設となっておりました。
胃瘻造設後も状態の悪化はなかったのですが、移動についてはお車では長時間になるため大変であることを伝え、飛行機は脳梗塞後遺症があり、意識レベルも良くないことなどから状態的にリスクがあることから、新幹線での移動が決定しました。
しかし川内駅から埼玉までは新幹線の乗り換えが必要です。新神戸または新大阪で乗り換えが必要となるためそのことも患者様には不安となりますし、状態悪化のリスクの一つになります。
また、川内駅のエレベーター情報を確認するとストレッチャーは入らないサイズ。出発地病院の相談員の方とこまめに連絡を取らせて頂き相談を重ねました。普通であれば乗り換えがあったり、座位保持が困難であったりすることで相談員の方や家族さんも諦める方が多いのですが、若松記念病院さんの相談員さんはそうではありませんでした。
息子さんの想いも強く、病院の院長先生もあげての相談体制で万全の状態で行けるように細かい内容まで相談協力をして頂きました。
まずは川内駅。新幹線多目的乗車に関わったことがない駅員さんがほとんどで、チケットを取るところから苦戦。
説明をしっかりとさせて頂きチケットは取れましたが、次はエレベーター。
外から駅の改札まで行くエレベーターはストレッチャーが入るのですが、駅中のホームまでのエレベーターが車椅子しか入らないという情報。
実際に調べて頂き、リクライニング車椅子はベットアップは必要ですが入ることが判明。
ただし患者様はほぼ寝たきりでベットアップを45度程度しかしたことがない方。
その部分も相談すると、すぐさまリハビリをしてなるべく起こせるような状態ができるように出発日まで頑張ってくれると連絡がありました。
乗り換えに関しては新神戸より乗り換え時間が多く、いつも協力してくれる大阪民間救急業者さんがいる新大阪に相談の結果決定。大阪民間救急業者さんもホーム移動をする乗り換えにどのくらい時間がかかるのかを実際に調べてくださいました。
15分あればなんとか。との返答でしたが、余裕を持って30分の乗り換え時間を予定にスケジュールを組ませていだだきました。
さて前日に仙台駅に行き状態確認。息子さんと相談員さんだけでなく、師長さんと担当の看護師さんも移動の流れを確認して下さいました。申し送りも丁寧にして頂き、院長先生から最終の病状説明まで。私も病状説明に同席させて頂き、万全体制の前日状態確認となりました。
搬送当日、最終バイタルで体温が37.0度とのことでしたが呼吸状態や意識レベルに変化なし。
しかし点滴ルートに漏れがあるので、点滴の指し直しをさせて頂き、へパロックをして移動です。
さすが昨日流れを確認後、シュミレーションをしただけあります。スムーズに病院のお車から駅まで移動することができました。
川内駅の駅員さんも2名体制で対応してくれて、30秒という短い乗り換え時間でしたが多目的室にもスムーズに移動。緊張しましたけど、案外余裕でしたね。と若松記念病院の相談員さんと師長さん。
移動には相談員さんと師長さんが着いてきて介助もして頂けたのですが、患者様のことを元々知っていることもあり患者様は常に安心した表情で移動できていました。
さてさて新幹線内。患者様はやはり緊張していたのか乗り込み前にも吸引していますが、乗り込み後に咳き込み多くあり。
再度吸引をしたり体制を整えて少し落ち着きました。ご家族は多目的室を見て、案外広いことにびっくり。多目的室のお近くにご家族の席を取っておりますので、そちらでご家族は休んで頂きました。
適時体位変換などをさせて頂いて、胸水が溜まっている患者様であったため右側臥位にてSPO2値の上がりが悪い感じがありました。
流涎があるため、仰臥位はあまりしたくない患者様ですが、呼吸苦軽減のために吸引を少し多めにしながら仰臥位と左側臥位を多くして対応させて頂きました。
状態変化なく時折休まれながら新大阪に到着。新大阪で依頼した業者さんがストレッチャーにてお迎えです。
いつも通り患者様に優しく声をかけて頂き、スムーズに移動。ホームが変わる形になりますが、乗り換えも時間に余裕がありましたので、スムーズに移動することができました。
新大阪にて乗り換え後は吸引をして体制を整えて胃瘻より白湯を注入。
白湯の注入にて痰が多くなってしまう可能性がありますので、ゆっくり滴下を開始して呼吸状態の変化を見ます。
注入中、後共に呼吸状態の悪化なく、時折笑顔を見せてくれる可愛い患者様。新幹線の窓から見える景色をしっかりと見つめる姿が印象的でした。
お湯を注入し落ち着いてから体位調節やオムツチェック、下肢マッサージなどをしているうちに新幹線は東京駅に到着。
当社のストレッチャーにて東京駅で下車。車両で埼玉へ向かいます。
患者様は新大阪から外をみて過ごしていることが多かったため、車両内ではウトウトと休まれている様子。
渋滞がありましたが、川口さくら病院さんへ予定時刻に到着。
バイタルの明らかな変動なく移動終了となりました。
川口さくら病院さんは到着が遅くなりましたが皆さん優しく迎えてくださり、いい病院であることが感じられました。
最後に、長距離の移動で患者さんも息子さんもお疲れ様でした。
高齢であり沢山心配事があると思いますが、息子さんのお近くで穏やかに生活できることを願っております。