今回は飛行機でのご移動をお手伝いさせていただきました。
中野区の「小原病院」から北海道の「東苗穂病院」です。娘様のご自宅近くに、療養のためのご移動です。
患者様の容態
約半年前に脳卒中で倒れてしまい、飛行機に乗っている間は座ることができませんので、「JAL」ご協力により、飛行機にストレッチャーを設置して、病院から病院まで、寝たままの状態で移動します。
出発当日
出発前に忘れ物がないか確認して、小原病院の病棟看護師さんと一緒にストレッチャーへ移動します。移動前はウトウトされていましたが、移動でびっくりしたのかぱっちり目を開けました!
「おはようございます、これから北海道へ行きましょう」とお声かけします。私の方を見つめるような仕草はありますが、はっきりとうなずいたり、首を振ったりされないので、どの程度私の声が届いているかわかりませんが、娘様がおっしゃるには、「全部わかっているんです」と。
患者様のご容体は十分に聞き取りをしますが、実際に出会って間もない看護師にとって、ずっと寄り添っているご家族のお話はとても参考になりますし、愛情を感じる瞬間でもあります。
実際に娘様が仰った通り、私が患者様の手を触り、「握ってください」というと握ってくださり、「離してください」というと離すことができました。北海道へ行くのもお分かりのはずです。
羽田空港までは車内でお話をしながら、渋滞もほとんど感じずに到着しました。
空港に着くと、チェックイン手続きの間に「オストメイト」を借りてオムツ交換を済ませ、JALの職員さんの誘導を待ちます。
JALの職員さんの誘導で、乗ってきた車両のまま制限区域に乗り入れます。飛行機を間近で見れる特別な時間です。
リフト車で飛行機の入り口までストレッチャーを寄せて、そこから人力で機内のストレッチャー設置場所まで患者様を移動します。待機中はむくみの解消のためマッサージを行います。
機内への乗り込みが完了すると、次は一般のお客様が乗り込んできますので、隙間のないようにカーテンをします。すぐ隣に看護師が着席します。ご家族は少し離れた席となりましたが、何かあればすぐにお呼びいたします、と客室乗務員のご配慮もいただきました。
一度離陸すると、看護師も座席を移動することができませんので、カーテンの中で今のうちにできることをしておきます。痰が絡みやすい方なので、吸引をしたり、検温をして異常がないかチェックします。
機内で
毎日吸引が必要な方は、空の上では血液中の酸素の取り込みが悪くなりやすいため、前もって酸素も準備してもらっています。稼働チェックを行い、準備万端。北海道へ飛び立ちます。
機内では安全のため、5点ベルトを装着する必要があるため、身動きが取れません。ですから行える処置はかなり限られますが、再びシートベルトサインが点灯するまで、できることを行います。
やはり酸素の取り込みが少し悪くなったため、前もっていただいていた「小原病院」主治医の指示通り、一時的に酸素を投与することでバイタルサインはごく安定して経過しました。
新千歳空港にて
現地民間救急
病院に到着して
「東苗穂病院」到着すると受付の案内の方がすぐににこやかにお出迎えしてくださいまして、待つ時間もなくすぐに病棟のベッドへ移動できました。担当看護師が搬送中の申し送りを率先して聞いてくださり、その間他メンバーが患者様の処置に当たります。チーム連携が確立されていることを強く実感いたしました。
娘様によると、患者様、北海道は3年ぶりだそうです。入院中も外に出る機会がないため、今回のご移動で久しぶりに外の空気を吸い、さらに北海道の冷たくなってきた風に当たって驚かれたことと思います。
移動中はできることがかなり限られますが、今後も療養が必要な患者様にとって、安全にご移動するだけではなく、少しでも気分転換になればと思いお手伝いさせていただきました。
ご家族にとっても大きなイベントで、ご不安なことも多かったことと思います。一緒にお付き添いできたこと光栄に感じております。
娘様のお側で、より一層の回復を願っております。